棟梁・設計士と建てる|岸井設計室

インタビュー02
何十年も経営者と向かい合ったNさんの選択。
70歳で建てた家
「僕のお客さんは『いいなぁ、贅沢だなぁ』と天井を見上げ、部屋全体をぐるりと見渡してそう仰います」とご主人。 「ご近所の方の評判も良くて『古民家風ですね』『木の良い匂いがするね。やっぱり木はいいねぇ』と言ってくれます」と嬉しそうな奥様。 斜めの天井が特徴的なリビングダイニングルームでNさんご夫婦にお話を伺いました。




玄関の隣には書斎があります。「書斎作ってって頼んでないけど、ここに書斎があるといいですよって岸井さんが言うもんだから」とまんざらでもなさそうなご主人。 趣味のクラリネットの練習にも熱が入りそうです。「うーん、でもやっぱり音がうるさいからカラオケボックスで練習するよ」。

机から振り返ると棚があり、書物をすっと手にすることができます。 「この書斎ののれん棒も、岸井さんがこの細さじゃなきゃって言ったんですよ。棒が太すぎると布がぼこっとなって格好悪いからって。 ホームセンターの突っ張り棒でもいいかなって思ったのに……。まぁ岸井さんが良いっていうから」お友達がプレゼントしてくれた芹沢銈介デザインののれんが映えていました。




「これが僕たちの自慢の柱です」と、和室の柱を見せて下さいました。 左の柱には幼い頃からの娘さんの成長が、右の柱には、6歳になるお孫さんの身長が刻まれています。 「前の家の柱をどこかに残したいって言ったらこの和室につけられていました。これはハウスメーカーでは絶対にできないよね」と目を細くするご主人。




ご主人は、昔からの友達のオオヤさんという設計士さんと「こういう家を建てたいね」と夢を語っていましたが、オオヤさんが引退することに。 「オオヤさんが引退したので僕もやる気がなくなっちゃって、もう家を建て替えるのはいいかなぁと思いました。 オオヤさんには『年取ったら駅近くの中古マンションに住もうと思うんだけど……』と話をしていたけれど『Nさん、一戸建ての方がいいよ』としみじみ言われました。




僕は今70歳なんです。僕より年上の友達が大規模にリフォームしたり、新しい家を建てたりしたので、僕にもできるじゃんと思いました。 オオヤさんと相談する中で『僕の仲間の設計士がいいか。それとも弟子がいいか』と言われてね。 仲間だとあれこれ言えないけれど、お弟子さんならオオヤさんの考えを継いでいるし、お弟子さんにしようかなと、岸井さんを紹介してもらいました。




岸井さんに設計を頼んだのは良いけれど、僕らが思い描いた家を建ててくれる棟梁がいるかどうか心配でしたが、なんとか都合をつけて引き受けてもらいました」とご主人。 「棟梁は寡黙ですが黙々と仕事をしてくれます。夜遅くまでライトがついているのを何回か見ました」と奥様。




「この家はオオヤさんと岸井さんの合作なんです。オオヤさんが建築中に何度か訪ねてくれて『岸井君、これさぁ……』と注文をつけてくれました。 オオヤさんに『どうだい。あんたの好きな家になったかね』と言われました」。




テレビ台も大工さんの手作りで、内装の雰囲気とぴったりマッチしています。 テレビ台の上の方に隙間が空いているのは「室内の乾燥した空気を床下に流すため……だったかな? 岸井さんに何度も詳しく説明してもらったのに、すぐ忘れちゃう」と笑う奥様。 裏側に筒のようなものが伸びていて基礎と家の中の空気を循環させるので、四季を通して家の中全体が快適な湿度や温度になるようです。




「ぼくのこだわりは、湯船につかりながらゆっくり庭を眺めたいということでした」と、浴室を見せて下さいました。 浴槽に入って窓の外をを見ればちょうど庭が見渡せます。 「前の家の庭にあった石はそのまま使って、ゆくゆくは庭木を植えて立派な庭園にするつもりです。」




廊下にはステンレスポールを設置して、雨が降ったらさっと洗濯物を掛けられるようにしました。 「オオヤさんの家にあったので真似させてもらいました。昔は洗濯物をカーテンレールにかけてたからゆがんじゃったりしてね。ちょっと引っ掛けるところがあると便利ですよ」と奥様。




廊下から庭に見える可愛らしいペンギンのベンチは石造りで、亡くなったお母様が座ってのんびりしていたそう。 「新しい家でお母さんと一緒に暮らしてみたかったし、私の両親にもこの家を見てもらいたかったです」と奥様。




トイレは「男性用の小便器もほしい」というご主人の要望を叶えたものです。 奥には普通の便器もあります。「車いすでも入れるような広さなんです」とご主人。 「もし車いすで生活をするようになっても困らないように玄関にもスロープをつけてもらって、スイッチも自然に手が行くように低めの位置にしてもらいました」




「寝室の天井は予算の関係でクロスか漆喰でいいかなぁと思いましたが、 全部真っ白だと病院みたいだからと岸井さんが白のクロスと木の天井バージョンの2通りの見積もりを出してくれました。 結果、木の天井にして良かったと思います。この木の節も良い味ですよね」とお二人は天井を見上げます。




寝室の壁には杉の一枚板が。 「ここにくぼみがついていて、ハンガーなんかを掛けられるようになっています。棟梁がこだわって杉の年輪をつなげたんですよ。 棟梁が何も言わなかったからすぐには気付かなかったんだけど、ある時気が付いて棟梁に声を掛けたら嬉しそうにしていました」とご主人。




広々としたウォークインクローゼットには、嫁入り道具のタンスが2棹置かれています。 運び込むとぴたっと収まって「さすがだなぁと思いました」と奥様。




オオヤさんのお宅にあったキッチンの飾り棚を「も~らい!ってアイデアをもらいました」と奥様。




「コンセントも良い感じの所についているんです。差し口が4つもあって便利なんです。」と、自慢のキッチンを見せて下さいました。




ウッドデッキは広々していて、庇が十分あるので普通の雨なら大丈夫です。 「ウッドデッキも頼んでないんですよ。岸井さんのご自宅にウッドデッキがあって僕がいいねって言ってたのを思い出したんでしょうね。僕の家にもウッドデッキがついてました。 夏は夕涼みをしながら庭を眺める予定です。あぁそうそう。ウッドデッキでコーヒーを飲むときちょっとした机が欲しいと気軽に伝えたら棟梁が廃材を使って作ってくれました。棟梁もプライドがあるから家でじっくり作ってきてくれたんだね。 ウッドデッキで使うのはもったいないからリビングに置いてます」




「岸井さんから『サッシの枠を木でやりませんか』と提案されましたが、なるべくメンテナンスがかからない家にしたいと伝えました。 外壁も屋根もメンテナンスのかからない家にしておけば、後々楽ですし、ランニングコストも抑えられますよね。 そういえば薪ストーブもすすめられました。薪ストーブの火をみながら一杯やるのもいいなぁと思いましたが、準備が大変だと思って諦めました」。 「ハウスメーカーに頼む気はさらさらなかったです。だってハウスメーカーはCMや営業マンなどの経費がかかっているから。 設計士に払う設計代は安くはないけれど、例えば同じ2000万円の家でも、グレードの良い家ができると思ったんです。 設計士に頼んで家を建てようと思ったのは必然でした」とご主人。




最後に「岸井さんの第一印象はいかがでしたか?」の問いにお二人はこう答えて下さいました。 「もう2年前になりますかね。初めてお会いしたのは岸井さんのご自宅に伺った時です。岸井さんのご自宅もオオヤさんのご自宅に似ているので素晴らしかったです。 すごくいい笑顔で出迎えて下さって、親しみが持てました。とても気さくな方で相談しやすいなぁと思いました。 岸井さんは中二階の図面も描いてくれていましたが、二人暮らしですし、二階に上がる事ももうないのかなぁと思ったので平屋を希望しました。 僕たちの家は、2人の設計士、棟梁、若い職人さん、みんないい人で、一生懸命建ててくれたから恵まれてるよね」。




長年、経営者と仕事をして来た、経済、経営のプロであるご主人が下した判断が正しかったかどうか? 夫婦二人でにこやかに笑う笑顔にその答えがある気がしました。


聞き手:横山みほ(株)マツヤマ・デザイン

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